5. わが道を行く
2010-04-27


禺画像]
朝の通勤のときに、妙なことに気がついた。職場へは歩道を歩いて行くのだが、どういうわけか右側の白い帯状の上に列ができている。写真の工事柵と雑草のラインの間が歩道である。歩道の右端3分の1ほどは、地下を排水管が通っていて、その上が白いコンクリートになっている。その上をきちんと並んで歩いている人たちが見えよう。とくに段差があるわけでもなく、傍から見ていると何となく奇異である。

 この行列がどこから始まるのか興味があり、観察をしてみた。駅からちょっとした住宅地を抜け、信号を渡るとこの歩道が始まる。はじめのうちは道幅全体に人は拡がっている。やがて、人々は少しづつ右の白い帯に吸い込まれていくが、左側の広い部分を歩いている人もまだ目立つ。まもなく、バス停があり、歩道は向かって右側に2mほど迂回をする。この迂回路が、人を右側に寄せる機能をもっているらしい。迂回路の中では、いったん列は道全体にばらけるが、迂回路を出た時点では、ほぼすべての人たちが右側の白い帯の上に集められている。ときどき前の人を追い越そうとして左側に出る人もいるが、追い越しが終わると、再び白い帯の上に戻っていく。白い帯の上を歩いていると、前にも後にも人がつまっていてなんだか窮屈な気分なのだけれど、どうも、そこを歩くほうが安心のようである。もし、側溝点検用の鉄格子が無くなっていたら、みんな続々と穴に落ちてしまうのだろうか、などと、ついつい妄想してしまう。

 考えてみれば人生だって似たようなもので、たとえ多少窮屈な思いをしても、みんなが歩く安心な道を選択するのが普通だろう。みんな大変だねえ、と内心思いながら僕は見通しのよい左側の広いほうを歩いているのだが、行先は一緒。結局、同じ穴のムジナのようである。
[光]

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